社会権規約委員会の「総括所見」の当該部分の原文と訳文(須田洋平弁護士による)
17.The Committee notes with concern that a significant number of workers continue to work for excessively long hours, in spite of the measures taken by the State party to encourage employers to take voluntary actions. The Committee is also concerned that deaths caused by overwork and suicides due to psychological harassment in the workplace continue to occur. (art. 7)
The Committee recommends that, in line with its obligation under article 7 of the Covenant to protect workers’ right to safe and healthy working conditions and to reasonable limitation of working hours, the State party strengthen measures to prevent long working hours and ensure that deterrent sanctions are applied for non-compliance with limits on extensions to working hours. The Committee also recommends that the State party, where necessary, adopt legislation and regulations aimed at prohibiting and preventing all forms of harassment in the workplace.
17. 委員会は,締約国が雇用主に対して自主的な行動をするように奨励する措置を講じているにもかかわらず,多くの労働者が今なお非常に長時間の労働に従事していることを懸念する。また,委員会は,過労死及び職場における精神的なハラスメントによる自殺が発生し続けていることも懸念する。
委員会は,社会権規約7条に定められた,安全で健康的な労働条件に対する労働者の権利,そして,労働時間に対する合理的な制限に対する労働者の権利を守る義務に従って,締約国が長時間労働を防止する措置を強化し,労働時間の延長に対する制限に従わない者に対して一般予防効果のある制裁を適用するよう勧告する。また,委員会は,締約国が必要な場合には職場におけるあらゆる形態のハラスメントを禁止,防止することを目的とした立法,規制を講じるよう勧告する。
(参考)社会権規約第7条
第7条 この規約の締約国は、すべての者が公正かつ良好な労働条件を享受する権利を有することを認める。この労働条件は、特に次のものを確保する労働条件とする。
(a) すべての労働者に最小限度次のものを与える報酬
(i) 公正な賃金及びいかなる差別もない同一価値の労働についての同一報酬。特に、女子については、同一の労働についての同一報酬とともに男子が享受する労働条件に劣らない労働条件が保障されること。
(ii) 労働者及びその家族のこの規約に適合する相応な生活
(b) 安全かつ健康的な作業条件
(c) 先任及び能力以外のいかなる事由も考慮されることなく、すべての者がその雇用関係においてより高い適当な地位に昇進する均等な機会
(d) 休息、余暇、労働時間の合理的な制限及び定期的な有給休暇並びに公の休日についての報酬